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      結婚約束までする〜ニセ早大生が詐欺行脚      
昭和28(1953)年4月29日・神奈川新聞
ニセ早大生になりすまし街で次々と若い娘と知り合い、娘の親たちを信用させては転々それらの家庭に居候をつづけて詐欺を働いていた男が、25日窃盗容疑で大岡署に検挙され、取調べのあげく4ヶ月目に化の皮がはがされた
男は南区大岡町 詐欺前科2犯無職 福田博信(27)[仮名]で、昨年暮小田原市 早大第一商学部学生 坪川祐一君[仮名]方へ先輩といって訪れた際、同君の学生証を詐取、インク消しで証明書を巧みに変造、制服制帽を手に入れて同大学法学部学生になりすまし、去る1月5日横須賀市浜町 母(43)娘(20)に取り入って信用させ、娘と結婚の約束までして同家に一月も居続け、親子から学費といって現金15000円、その他の金品を詐取していたもの。
そのほか同様手段で静岡市、南区などで数名の娘の家庭転々として回り歩いて詐欺行脚を続けていたもので、現在までの調べで判明した件数は8件計10万円。なお静岡県稲取町巡査派出所の警官も汽車賃2000円を詐取されたことがわかった。
●君の名は・・・?●
結婚詐欺のニュースは今でもたまーに見かけるが、それを見るたびにいつも思うのが『そこまでして金が欲しいか?』ということだ。何ヶ月もかけた割には手にする金額が釣り合わないような気もする。それでも起こる事件・・・。どうやら結婚詐欺は趣味と実益を兼ねていないと成立しないし、もはや結婚詐欺マニアまでいかないとこんなに何度もできないハズだ。
記事の脇には小さく福田の顔がある。髪を七三に分けた、”
清純派青春スター”のような色男。
この顔に早稲田ブランドが付けば鬼に金棒っていう感じがする。
得体の知れない男だったらこんなに一ヶ月も居候させてなんてしないだろうが、
ハンサム早大生となると女心も揺らいでしまうのか・・・コロッとだまされて学費まで出してしまうからすごい。
おまけに警官までも現在の価値で2万円くらいだまされてしまっている。
4月11日の神奈川新聞には【
1口5000円、配当年6割、1年目8000円・・・大切な資産を安全確実に殖やして幸福なご家庭を】なんていうアブナイ広告があったりする。と思えばその隣には金庫の広告が・・・。
当時は朝鮮戦争が終盤に入り、日本が
特需景気で沸いていた頃だ。街じゅうにうまい話があふれていたのかもしれない。
しかし、
そんなうまい話はやっぱりない
当時流行った菊田一夫の『君の名は』の原作本がベストセラーになった昭和28年、横須賀で結婚を夢見た20歳の娘は、”君の名は”とたずねるヒマもなく、相手は警察に向かっていったのである。

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2000.9.11