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      しつこい干物売り〜観光客の苦情に市から警告・三崎    
昭和34(1959)年9月22日・神奈川新聞
完工した城ヶ島大橋をすぐ目の前にした、三浦市三崎町仲崎海岸の遊覧船発着場付近は、観光客がバスから船に乗り降りする場所だけに、シーズンを迎えて、このところ観光客でにぎわっているが、ここに観光バスが着くと、わっとアリが集まるように白いエプロン姿の干物(サバやアジをひらいて干したもの)売りが殺到し、小さいメザルに入れたナマ臭い干物を鼻先に突きつけてくる
十数人の干物売りに、入れかわり立ちかわり攻めたてられ気の弱い婦人客などは言葉に困って、しぶしぶ買わされたりしている。せっかく明るい気持で楽しんできた見物も、ここでこわされて不愉快なものになってしまう・・・という苦情がしきり。こんなに押し売りまがいのことをしないで、きちんと並んで発着場付近に店を張るとかしていれば、産地なので品も新しく1皿100円の値段も高くはないので、もっと売れるのではないか・・・と観光客は無秩序な現状に白い目を向けている
この干物売りは、前には魚市場の角の路上に並んで店を張っていたが、いつの間にか仲崎海岸に移動し、お客さんの奪い合いまで演ずるようになった。市観光課でも、こうした物売りの行きすぎで観光客に悪い印象を与えては・・・と心配し、業者に自粛を促すことになった。
●白熱のオバチャン対決●
旅行先で迷いに迷ってお土産を選ぶことは多いが、こんな形で売られる機会なんてそうはない。
いまいちイメージが湧かない方のために記事についていた写真を取り込んでみたが、見て納得、
かなりイヤだ。
当時の新聞の写真説明には”
観光客にしつっこく食い下がる主婦の干物売り”という説明書きが。よっぽどうるさかったんだろう。
『観光客に食い下がる干物売り』ではなく、あくまでも”しつっこい
主婦の干物売り”というところがおもしろい。
オバチャンがみんなしつこいわけではないだろうが、漁村のおかみさん連中だ。
旦那さんが釣ってきたアジやイワシを、家族のために何とか売ろうという必死な姿が浮んでくる。
しつこい干物売り〜1959.9.22神奈川新聞より
しかも十数人が入れかわり立ちかわり・・・一種の拷問のような光景が週末ごとに繰り広げられていたとすればかなり笑える。
写真から判断して、この場所は
現在の三崎魚市場の湾の反対側らしいが、今、この場所に観光船の発着所はない。
悲願の城ヶ島大橋が完成して、観光バスは対岸の城ヶ島までこの橋を通ればよくなり、観光船のルートは客を集められる
油壷〜城ヶ島に変更になったと考えられる。
だとすればこのオバチャンたちは
この後他の場所へ移動していかないと商売が成り立たなくなる
魚市場からこの場所へ移り、さらにどこへいったのか・・・。

ジプシーのようにさまよう干物売りのオバチャンたちは、今、どうしているのだろう。
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2000.9.18