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      機械化窃盗団の主犯を逮捕〜犯行は6000万円に    
昭和40(1965)年10月23日・神奈川新聞
盗んだ乗用車と”警察見張り用”の携帯無線機を使い、神奈川・東京と関西で郵便局、学校、農協、官庁、会社、商店から手当たり次第に盗み回った5人組事件を調べている県警捜査三課と金沢署は、金沢市谷津 無職 新川昌夫(20)、横須賀市公郷 無職 青山征夫(21)、住所不定 無職 小林正夫(26)の3人をさきに逮捕したが、さらに22日までに横須賀市東浦賀町 無職 橋田博夫(20)をつかまえ、同市安浦町 無職 荒川五郎(22)を全国に指名手配した。

5人組の犯行は、さる4月から8月まで、わかっただけでも223件、6000万円。このうち現金・小切手類は4000万円近く、あとは貴金属・ゴルフ道具・乗用車など。主犯は橋田と新川。横須賀を根城にする元錦政会系の暴力団の一員だ、と自供しているので暴力団との関係を追及している。

手口は金庫破り、事務所荒らし、忍び込みから自転車ドロ、病院・デパート荒らし、車上ねらいなどまで、行きあたりばったりトランシーバー2個のほか、ドライバー、バール、プライヤー、合いカギ20数個、皮手袋、釣りザオの7つ道具を持ち歩いて指紋を残さなかった。犯行時刻は午前2、3時。5人ともボーリング仲間で、「女遊びの金とボーリング代がほしさが動機」という。
5人いっしょの犯行はなく、3、4人で荒らし回ったが、運転のできる小林はいつも参加。駐車中の自動車45台を合いカギで盗み、現場に着くと小林が表で見張り、中に侵入した橋田・新川とトランシーバーで連絡しながら、手さげ金庫、レジスター、ロッカーをゆうゆう盗み出していた。釣りザオは職務質問の目くらまし用。1本3万円もする高価なサオを持ち、防水ズボンまではいて「海釣りに行く途中だ」と、ごまかす用意をしていた。

                (中略)

6月9日、横浜・富岡郵便局から盗んだ郵便切手を小林がさばこうとしたのが、逮捕のきっかけ。小林はさらに鎌倉の美術商から盗んだ古刀2本(30万円)を金沢区内で売ろうとし、5人組の犯行がわかった。
5人は毎晩、バーで2、3万円の金を使ったり、ボーリングに1日数千円を使って豪遊、主犯の橋田は八月末から大阪に逃げ、キャバレーのホステスと同せいしたが、金は二週間でなくなり、パチンコ店員で生活していたという。
機械化窃盗団の主犯を逮捕
酸素溶断機で焼ききられたアメリカンモータースの金庫
●マサオ〜!●
”機械化窃盗団”・・・。さぞかしハイテクを駆使した盗みかと思いきや、紙面に出てくる道具の中で機械といえばトランシーバーだけ
しかしこいつら、あなどれない。
飲食店から手さげ金庫(16000円入り)を盗むなどは序の口で、運輸会社からは
金庫とトラック一台を、さらに横浜地裁横須賀支部庶務課の現金も堂々と盗ったり、横浜のアメリカンモータースでは金庫近くにあった酸素溶断機で金庫を焼ききったりするつわもの達だ。
しかもわかっただけで
4ヶ月で223件の盗みとは思わず絶句する回数だ。一日平均2件ずつの犯行で得た金はなんと6000万円。昭和40年当時の大卒初任給が約2万円だから、今の金にすれば5億円は下らない額だ。
その金で一日数千円を使うボーリング・・・。いったい何ゲームやったんだろう?と考えてしまう。
ボーリングブーム間近というこの時期にまさに流行の最先端の遊びをしていたようだ。
タイトルの『機械化窃盗団』には、こんな
手当たり次第に盗みをする最近のわけのわからない若者、っていう感じのニュアンスもあるんだろう。

ところで、この窃盗団には偶然にも3人のマサオがいる。その中でも小林マサオは
一番かわいそうなマサオだ。
”運転のできる小林はいつも参加”なんて、
ただのパシリだ。
しかも見張り専門なんて、運転しかできないような
ちょっとした役立たずなヤツだったんだろう。
案の定、5人組逮捕のきっかけは見事に
彼が引き金を引いている。『マジかよ、マサオォ〜』なんて他のメンバーが頭を抱えているような状況も目に浮かぶ。
最年長なのに、ハタチの主犯・橋田らにいいように使われる姿は暴力団内の力関係を如実に表しているようでちょっと哀れだ。

さて、彼らは妙なところで慎重だ。7つ道具に入っている
高級釣りザオ・・・。しかも防水ズボンまで履いて職務質問対策をしていたなんてアンバランスでよい。
盗みに入る
全員がこんな格好をしていたとしたらかなり笑える
しかし、これは小林専門だったんだろうなあ。外で見張りしている彼に『おい、これでも着てろよ』なんて渡される防水ズボンと高級釣りザオ。
こんなマサオにはサオがお似合い、なんてしゃれにもなんない。彼が生きていれば今ごろ還暦を過ぎたいいおっさんだ。今はどんなマサオになっているんだろう・・・。

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2000.12.5