真っ白なピアノの前にスタンバイすると、2人はおもむろに軽快な“ブギ”を演奏し始めた。てっきり、壮麗なクラシックの調べが流れてくると思っていたが、それに驚く暇もなく、観客はたちまち彼らが奏でるソウルフルなブギにのめりこんでいく。グランドピアノからは2人が叩いた音が次々に放り出され、聴く人の体を揺らし、心を躍らせる。
フランス語で「兄弟」を表すLes Freres(レ・フレール)。その言葉の通り、斎藤守也(もりや)と圭土(けいと)の2人は実の兄弟だ。美しいバラードを得意とする兄・守也と、“ブギの申し子”と言っていいほどの弟・圭土。この2人が持つ20本の指が、88鍵あるピアノの上を縦横無尽に動き回り、全ての音が過不足なく混じりあう演奏は圧巻だ。
|
 |
 |
 |
|
|
| とりわけ、兄弟である2人のコンビネーションが発揮されるのが「ブギウギ即興」だ。テンポとコードだけを決めて、あとは文字通りの即興。速いテンポの中で時おり目配せをしながら、20本の指が激しく鍵盤を叩く。その日の観客の手拍子や歓声によって、2人の演奏はどんどん形を変えていく。まさにライブならではの迫力ある連弾なのだ。 |
 |
 |
 |
|
|
| さらにもっと高速な曲になると、観る者がハラハラしてしまうほどに2人の手が素早く交差し、曲の途中で座り位置を入れ替えることも。手はもちろん、足で床を叩くなど、彼らは全身を使ってピアノを操り、そして汗だくになりながら笑顔で音をつないでいく。この姿と、隅々まで計算しつくされたメロディーが、聴く人を深いピアノの世界へ引き込んでいく。 |
|
 |
 |
|
|
| 一転して、屋久島の自然をイメージしたという『イーグル』では、また別のバリエーションが堪能できる。壮大で力強い「鷲」のスローな低音を守也が奏で、一方で圭土がピアノの弦を“直接押さえる”ことにより、まるでシンセサイザーやベースのような音が会場に響き渡るのだ。息をのむようなこの演出が、彼らの音に無数の深みを与えていく。 |
 |
 |
 |
|
|
| ピアノの連弾ではまず見られない“弦押さえ”をコンビネーションで実現してしまうスキル。これを聴くと、ピアノというものが鍵盤楽器であると同時に、『弦楽器』でもあることを思い起こさせる。こうした圧倒的なステージを展開する2人。横須賀に生まれ、今も横須賀に住んでいる彼らは、いったいどんな「兄弟」なのか。その素顔に迫った。 |
|
 |
 |
|
|
◇彼らを夢中にしたピアノの魅力とは?
『レ・フレール』単独インタビューは次のページ! |
|
 |
 |
|
|