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      [200000ヒット記念ミニ企画]驚愕廃墟・真夏の都市伝説
鳩よ眠れ〜林・廃墟マンション潜入報告
     

鳩よ眠れ〜林・廃墟マンション潜入報告

●現在は存在しません●

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(『三浦半島・20世紀の事件簿』より)

どこかの墓地で肝だめしをしようとか、今は無人の病院に入ってみようとか、そういうミステリーツアーは多かれ少なかれ誰でも経験したことがあるだろう。しかしこの廃墟に関しては墓地や病院と違って何階建てとか何部屋あるとかどこに入り口があるとか、全体像を誰も知らないのがまず怖い。そもそもここはバブル期に建設がはじまったリゾートマンションの、壮大な作りかけだ。外は青いネットで囲まれ、昼であろうと夜であろうと一切外壁さえ外からはうかがい知れない。建設開始以来一度もそのベールを脱がず、そして放置されたこのマンション、もしこの建物自体に魂が宿っているのならさぞかし無念だろう。
その不気味さと、そこに彩られた数々の伝説が相乗効果をもたらしているこの廃墟。せめて中はどうなっているのか、それくらいは確認してもいいのではないかと、ネットで集まった仲間たちで潜入を試みた。
小さく開いた唯一と思われる入り口を入るとそこは駐車場らしきスペースだった。
剥き出しのコンクリート、まだ穴があけられていないダクト、それにコウモリの群れをほうふつとさせる天井から垂れ下がった電源コード・・・。これらはこのマンションの建設がかなり初期段階で中止されたことを物語っている。
足元にたまっている雨水の中をぴちゃぴちゃと不気味な音を立てながら進むと、さらに広い駐車スペースがあった。
十数年の放置期間があったのにもかかわらず内部の腐食は思ったよりも進んでいない
エレベーターホール
エレベーターホール
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上階への階段
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そういえば、この密閉された空間はあんまり空気が動いていないような気がする。
マグライトを奥まで照らしてみるとその光線の途上にたくさんの細かいチリが浮き上がる。ここだけ、空気がよどんでいて、ひょっとしたらバブル期の空気がそのまま残っているのでは?と思うくらいに重苦しかった。この空気のおかげで腐食が少ないのだろうか?
駐車スペースから居住階へ上る。すると何と階段が、ない。いや、正確に言えば階段が坂になっていた。数メートルの間に突起が2つくらいしかない、昔ドリフの坂コントにあったような、あんなイメージの、狭くて急なスロープ。この建物の中でちゃんと上に上れるのは左と下の画像にある非常階段くらいだ。まったく人を寄せ付けない構造に背筋がゾクッとする。
みんなで何とか上にあがると、いよいよ居住空間が出現した。
ひとつの階の部屋数はそんなに多くないが、一部屋の間取りはかなり広い。優に3LDKはあるようなつくりだ。
ここは水まわり、ここはリビング、そしてここは子供部屋・・・と大体想像がつくが、さすがはバブル期のリゾートマンションだ。各戸はゆったりしたつくりエレベーターも4,5基あるように設計されていたようだ。バブル当時の価格で7000万円台から、なんて感じだったのかもしれない。
中はきれいになっていて、工事資材などはひとつも見当たらない。まるでこれで完成ですよ、と言わんばかりのがらんどうだ。
非常階段
非常階段
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広い間取りのリビング
広い間取りのリビング
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ちょっと見づらいが左の画像はリビング。完成時、広い窓からは自衛隊越しに相模湾のきれいな夕陽が見渡せたに違いない。
そしてやはりここでもぜんぜん空気が動いていない感じがした。
それによく廃墟にありがちなスプレーでの落書きが全くない。本当に人が入っていなかったか、またはこの動かない、言い換えればよどんだ空気をかき乱すのに抵抗があったのかもしれない。
中は暑くてしーんとしているし、この建物全体を覆っている一種異様な雰囲気がそうさせるのだろう。
たいていのマンションがそうであるように、各階のつくりはほぼ同じで、しかも中は全て剥き出しのコンクリートなので一体自分たちがどこから入って、出るにはどこへ行ったらいいのかがわからなくなってしまいそうだった。
建物の中を一通り見てみんなでパシャパシャと画像を撮り、出口を探す頃には最初に僕らが感じていた恐怖感とか何とも言えないひやっとした感じは、この暑さの中で少しずつ薄まっていったような気がした。この雰囲気に慣れてきたわけではないが、要するに、それほど怖くないのだ。
外の廊下
外の廊下
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眠る鳩
〜クリックすると拡大画像が開きます(50KB)
それはなぜだろう?とずっと考えていたのだけれど、やはり命のにおいとか生活の跡がない、ということなのかもしれない。
もし自分が地縛霊とか浮遊霊だったら、ここに居つくか?と言われれば、まず住まない。昔人が住んでいたマンションだったらともかく、こんな無機質な冷たいコンクリートの塊幽霊にとっても迷惑なのではないか?なんて思う。ここにいたいな、住みたいな、なんていう温かさもなく、そして迎えてくれる人間もいない、この無意味な空間・・・。
そんな中で唯一とも言うべき命が、鳩だった。
階段の上や手すりに数匹の鳩がいたが、みんな寝ていて、身じろぎひとつしない。鳩が寝ているなんて、初めて見た。しかもライトを当てたりフラッシュをたいてもぜんぜん動かない。しかも鳩って、目を開けて寝るらしい・・・。一斉にバサバサと飛ばれるのも怖いが、びくともせずに寝ている鳩の集団を見るのもこれはこれでものすごく怖い。まあ鳩にしてみれば安心しきって寝ているのだろう。そのすぐそばをぞろぞろと歩いていった僕たち。ちょっと悪いことをした。
何億円もかけて作りかけた巨大なコンクリートが役に立ったのが鳩だけ・・・。
バブルの残したこの建物がお化け伝説と鳩の寝床しか残さなかったなんて、人間ってなんて勝手な生き物なんだろう・・・裏の森で、無数の幽霊たちのそんな噂話が、聞こえるような気がした。

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2001.7.24