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輸送艦、ここに眠る〜長浦港・おじか
採集地⇒横須賀市船越・長浦港 地図

横須賀市長浦港。
ここは海上自衛隊横須賀地方総監部に所属する護衛艦や掃海艇が並ぶ、ネイビーエリア
あちこちに武装した灰色の船があるそばで岸壁からの釣りを楽しむ人々・・・。この何だか不釣合いな風景の向こう側に、ひっそりと体を休める大きな船がある。
海上自衛隊の全艦艇にはそれぞれの番号が白字で書いてあるが、それさえも消されてしまった鋼鉄のかたまりが、スクラップを待っているのだ。
手前からみうら・おじか・さつま
手前からみうら・おじか・さつま
Photo by 海上自衛隊
揚陸作業
Photo by 海上自衛隊
輸送艦・おじか
海上自衛隊の輸送艦には半島の名前がつくらしく、宮城県の牡鹿半島からとったものだ。
長さ98m・幅14mで、陸上自衛隊の戦車10両または完全武装兵員約200名を収容できる能力がある。
使用目的は、兵員と物資の輸送。海岸へ乗り上げ、一番前の扉が開いて人が出てくるイメージだ。その役割から言っても、輸送艦というよりは揚陸(ようりく)艦と言ったほうがピンとくるかもしれない。
1976(昭和51)年3月に就役してからは同型艦の「みうら」「さつま」とともに25年間も輸送任務に当たっていた。
この25年間、もちろん戦争はなかったのでピリピリとした雰囲気の中で前方から戦車が出てきたことは一度もない。
その代わりに出てきたのは消防車だ。
2000年の三宅島噴火の際は消防隊員やポンプ車、救助車を乗せて横須賀から救援に大活躍したのだ。
三宅島噴火では大活躍
Photo by 東京消防庁
間近で見るおじか そして2001年8月、おじかは長い任務を終えて退役した。
武装を解除され、荷物が運び出され、4152という艦艇番号を塗りつぶされて、この船はスクラップを待つただの鉄になってしまった。
横須賀ネイビークルーズの取材に行ったときにちょうど近くを通る機会があった。
最後の最後までよく整備されていたのだろうか、装備やレーダーはまだピカピカで、オンボロの船という印象はないが、船体はやはりちょっとくたびれた雰囲気だ。
しかし何とも不気味だ。
普通の船なら、改造して生まれ変わることもできるだろうが、25年使った自衛艦艇は他への転用はできないだろう。
エンジンを抜かれて、もう死を待つしかない体。
もう何も追いかけられないレーダー
そして、もう開かない前方ハッチ・・・。
静かにスクラップを待つ巨体は、どことなく寂しげだ。
係留されるおじか
輸送艦おおすみ
輸送艦”おおすみ”
Photo by 海上自衛隊
老朽化しつつある輸送艦、現在は排水量がおじかの4倍以上あるおおすみ型への更新が進んでいる。
今度は後ろが開くタイプで、ヘリコプターも発着できる甲板はまるで空母のよう。中には手術もできる医務室と1000人の収容能力のある空間があるのだという。
こうして有能な後輩の就役を見守って完全に役目を終えたおじかは、もうしばらく、ここ長浦港にその巨体を浮かべる。

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2002.7.1