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| 風とみどりの峠みち〜三浦半島縦断ウォーク【その4】 |

| ●もくじ● |
| 【その1】ループと谷戸と峠を越えて〜十三峠への道 |
| JR田浦駅をスタートして谷戸を抜け、ループを見ながら峠をめざします。 |
| 【その2】コンクリートを越えていく〜阿部倉への道 |
| 塚山公園を下り、コンクリートの要塞を通って阿部倉エリアに入ります。 |
| 【その3】続く急坂、ヨコヨコまたぎ〜大楠山ろくへの道 |
| 大楠山を前にして立ちはだかるのがキツイ急坂。ヨコヨコを2回またいで進みます。 |
| 【その4】海賊たちは丘をのぼる〜衣笠山への道 |
| 三浦氏の要塞だった衣笠城址。春には桜が咲き乱れる山から見える絶景は・・・。 |
| ●広域地図● Map-2 三浦半島北部 │ Map-16 三浦半島中央 |
| ◆海賊たちは丘をのぼる〜衣笠山への道 | |
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産廃処分場へ向かう舗装道路を少し歩くと、左側に山道への入口があった。 コンクリートの道ができるまではおそらくずっと一本の山道だったんだろうけど、今は妙なコマギレのハイキングコースになっているようだ。 気を取り直して切通しの道を歩く。 ここも冬の木漏れ日が明るい、いい道だ。 |
| いい気分で歩いていると、どこからともなくゴーゴーと音がする。 木々の合間から音の方を見ると、またもや横横道路が。 さっき阿部倉でくぐったヨコヨコを、今度は上からまたいでいくように道が設定されているらしい。 まったく、なんという忙しいハイキングコースだ。 |
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5分ほど行くと、あった。 横横をまたぐ、かなり高さのある強固な橋だ。 さっきの鉄橋とちがい、さすがに高速道路を渡るとなると、たとえハイキング専用道であってもしっかり作られている。 隅のほうには「おおはたはし」という名前がついていた。 |
| この橋からしばらく下を眺める。 金網越しに見ると、ちょうど横須賀パーキング付近だ。 普段は高速で飛ばしながら見る橋にわざわざ歩いて登ってきて下を見下ろしているなんて、なかなかおもしろい。 しかし、こうやって眺めて見ると、この高速道路によって三浦半島の自然が完全に分断されたことがよくわかる。 |
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昔はカンタンに行けた場所も、こうやってトンネルとか大きな橋を渡らないと行けなくなってしまったのだ。 動物たちは、さぞかし困っただろう。 突然明るくなってしまった森とか、常に排気ガスを浴びることになってしまった木々とか、周囲の環境は激変した。 一方でヨコヨコは今や三浦半島の暮らしにはなくてはならない高速道路だ。 自然と便利さのバランスをとることは常に難しい。 |
| そしてその影で、この大楠山をぐるっとめぐるハイキングコースは密かにルート変更を繰り返してきたんだろう。 「おおはたはし」を越えると、ここからはほとんど横浜横須賀道路と平行して山道が続いていくことになる。 小刻みに軽いアップダウンを繰り返しながら、車の音が響く森の道は、衣笠インターに向かっていく。 |
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横横道路をまたいでから約30分。 最後のちょっとした上り坂を越えると、衣笠城址の”城下町”に出た。 衣笠城。 11世紀のはじめに築城された、三浦氏の最重要拠点だ。 階段を上がって城のあった場所に出ると、何もない広場になっていた。 天守閣などない山城だったけど、この衣笠城、かなり機能的にできていたようだ。 |
| 山すそを急なガケにして攻めにくくしたり城の下にある2本の川を天然の堀に活用したりして、難攻不落の要塞に仕立てられていた。 城跡の一番奥には「物見岩」と呼ばれる大きな岩が横たわっている。 今は木が生い茂って見渡すことはできないが、昔はここにのぼって敵情視察などをしたんだろう。 |
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こうやって見てみると特に何の変哲もない山城だけど、実はこの衣笠城は三浦氏の実体を解く重要な場所になっているような気がする。 最大の謎は何で三浦氏はこんなところに城を築いたのか?ということ。 三浦半島にはもっといい場所はたくさんあるし、第一もう少し鎌倉に近くてもいいような気がする。 |
| しかし、三浦氏は海賊だったとしたら、どうだろう・・・。そんなストーリーを思い浮かべてみた。 この一族は紀伊半島や五島列島など、水路の港ごとに領地を持っていたことがわかっている。三浦半島から点々と海上ルートを確立していたのだ。 その先には朝鮮半島、そして中国。 つまり、三浦氏は独自の貿易ルートを持っていたとは考えられないだろうか? |
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そうなるとかなりの財力があったことになる。 三浦氏がやったような、寺をいくつも建てて仏教文化を大事にすることなんて、北条氏にはできなかったこと。 それだけ金はあったし、三浦半島に地場産業が育っていないのも、そんなことをしなくても十分な財力があったからだと考えることができる。 |
| 海に強いということは海軍力もあったということ。 平作川の下流に海軍基地”舟倉”を要していたし、昔はその平作川が入り江になってこの城の下の2本の川まで来ていた。 さらに後方を山に囲まれている。 衣笠城は、戦略的に最適な土地だったのだ。 そしてもう一つ見逃せないのは、その位置。 |
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古代から三浦半島の中心地は現在の県立横須賀高校の場所にあった都の役所「郡衙(ぐんが)」。 それに対抗するように、その道の途中のちょっと高い山に都を見下ろすごとく城を構えることによって、都に対してパワーを強烈になアピールしたんじゃないだろうか? 武士が出始めた平安末期には、もはやその力を無視できない”海賊”となっていたのかもしれない。 |
| そうして力と富を蓄えた三浦氏は、その海軍力を駆使して頼朝を千葉に逃して恩を売って源氏につき、鎌倉を背後から監視するように衣笠に陣取ってナンバー2の地位を固めた。 そしてその権力を北条氏は恐れ、全力でつぶしにかかった。 三浦氏を滅ぼした後、北条氏が急激に財力をあげている説明もこれでつく・・・。 |
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長々と書いてきたけど、こんな仮説を教科書から外れて考えてみてもおもしろい。 別にウラをとったわけではないが、もしそういう事実があったとすれば三浦氏は相当したたかな海賊だったということになる。 そんなことを考えながら山道を歩いていたら、またもやコンクリートの道が出現。 今度は、三浦縦貫道のすぐ横に出てきたようだった。 |
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| またもやコンクリートによって中断されたハイキングコースだが、道を渡るとすぐに衣笠山への道が続いていた。 この山は今回のウォークの最終チェックポイント。 もうかれこれ5時間くらい歩いているので、ここを越えればゴールは目の前だ。 ・・・と思うと、またもや長い長い階段が上に向かっていた。 |
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いやいや、最後の方にきてまたこのスクワット地獄はつらい。 阿部倉ほど急ではないが、15分くらいずっと続く階段はなかなか大変だ。 しばらく汗だくになって歩くと、途中に広場があった。 見ると、至るところに桜の木が密集している。 |
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| 桜の季節にはここらへん一面が淡いピンク色に染まり、空の青さとあいまって最高の景色を作り出していくんだろう。 ここにお弁当を持っていって花見、なんてなかなかいい。 毎年たくさんの花見客が訪れるここ衣笠山は、春に備えてじっくりとリフレッシュをしているように見えた。 |
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衣笠城址を出発してからおよそ45分。 ようやく、衣笠山の茶色い展望台に到着した。 ここが、今回のウォークの最後のビュースポットになる。 さっそく階段を上がってみると、そこには360度三浦半島を見渡せる景色が広がっていた。 海、そして広大な三浦半島の山々。 |
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| 北を眺めると、遠くに今朝通った十三峠の青い給水塔が見えた。 あんなところからぐるっと歩いてきたんだ、と思うと何ともいえない充実感が広がる。 三浦半島は狭いようで、歩いてみるとやっぱりでかいんだな、って思う。 南西方向に目を転じると、相模湾の向こうにうっすらと伊豆大島が見えた。 |
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さらに南東方向には観音崎とその先の房総半島・富津岬、北を見ると横浜ベイブリッジとランドマークタワー、そして東にはおなじみの猿島が浮かんでいた。 すぐ下には桜の木がたくさんあったから、この展望台が春を迎える頃には、衣笠山の桜の群れがびっしりとこの景色に彩を加えてくれることだろう。 |
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| 尾根を伝う古くからの幹線道路を越え、巨大コンクリートをくぐり、山里の風景を眺め、昔の急坂通勤風景を思い、山を分断した高速道路をまたぎ、三浦氏の戦略を考え、そして桜色に染まる三浦半島を想像しながら歩いてきた道。 古代からたくさんの人が歩き、そしてそれぞれの生活が広がっていったこの道。歩き終わると、そんな三浦半島の生活史をたどるウォークだったような気がする。 |
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道は時代とともに形を変え、いつしか広くなり、舗装され、大きなコンクリートに形を変え、またある道は昔の姿のままに残っていた。 そして生活が変わっていくにつれて、電線や車や携帯電話のアンテナなど、どんどんと新しいものがこの道を使っていく。 |
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| 決して完璧なウォーキングコースではなくてコマギレだったし全てが風光明媚ではなかったが、この10キロの道のりは、日々の暮らしは道によって展開していくことを考えさせてくれた。 あっちこっちに昔からの生活の匂いがする・・・、そんな山歩きも悪くない。 衣笠山から下りるコンクリートを歩きながら、そんなことを思った。 |
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| 2003.2.15 |