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      風とみどりの峠みち〜三浦半島縦断ウォーク【その1】      

風とみどりの峠みち〜三浦半島縦断ウォーク【その1】

古代からたくさんの人が行き来した三浦半島の道。
そんな古道の峠から見えるのは青い海、そして目を転じるとダイナミックな富士山が見える。
三浦半島の背骨ともいえる横浜横須賀道路を巧みにまたいで進むと、ついには猿島が顔を出した。
長い長い縦断ルートを歩いて三浦半島の暮らしを支え続けた道に思いを馳せ、そして三浦半島ならではの山と海の絶景を堪能した。
今と昔が交錯するこのウォークを、148枚の画像で追う。

●今回のルート●
JR田浦駅→十三峠→塚山公園→池上→
阿部倉→大楠山ろく→衣笠山公園→JR衣笠駅
●データ●
*全行程約10kmほどです。
*ゆっくり歩いて、休憩も含めて5〜6時間かかります。
*全体的にきつい道はあまりありませんが、足に自信のある方向けのルートです。
*一部にぬかるみのある道がありますので、すべらないしっかりとした靴がいります。
*途中の道の案内表示はありますが、一部詳しくないところがありますので、
独自に地図を携帯されることをおすすめします。

●もくじ●
【その1】ループと谷戸と峠を越えて〜十三峠への道
JR田浦駅をスタートして谷戸を抜け、ループを見ながら峠をめざします。
【その2】コンクリートを越えていく〜阿部倉への道
塚山公園を下り、コンクリートの要塞を通って阿部倉エリアに入ります。
【その3】続く急坂、ヨコヨコまたぎ〜大楠山ろくへの道
大楠山を前にして立ちはだかるのがキツイ急坂。ヨコヨコを2回またいで進みます。
【その4】海賊たちは丘をのぼる〜衣笠山への道
三浦氏の要塞だった衣笠城址。春には桜が咲き乱れる山から見える絶景は・・・。
●広域地図●
Map-2 三浦半島北部 │ Map-16 三浦半島中央

ループと谷戸と峠を越えて〜十三峠への道
JR田浦の小さな駅舎を出ると、頭上には冬の青空が広がっていた。
さすがに2月の風は冷たいが、この日差しがあれば昼間は大丈夫だろう。
JR衣笠駅まではここから横須賀線でたったの8分
それを数時間かけてのんびり行くのが今回のウォークだ。
JR田浦駅
谷戸を通っていく 閑散とした駅前を出て、国道16号の下り線を渡り、その先に通る上り線も通り過ぎると、山へ登っていくゆるやかな細い坂道がある。
そこが今回のルートの基点だ。
ゆっくりと歩き始めると、遠くの方までびっしりと家が並んでいる。
谷戸(やと)。
山がちな三浦半島にはよくある街のつくりだ。
狭い谷一面を埋めるように、上のほうまでびっしりと家が建っている様は横須賀ならではの風景かもしれない。
しかしそんな谷はそれぞれが独立しているので、大地震や災害があったときに孤立してしまう。
それを防ぐのが防災トンネルだ。
しばらく歩くと、そのトンネルが。
このページにもあるながかまトンネルだ。
ながかまトンネル
だんだん坂が急になっていく 前回の取材から4年半ぶりに、ちょうど反対側に立ったことになる。
ほどんど真っ暗な長い道。
前の明るい光を頼りに、おばあさんがゆっくり歩いていた。


さて、トンネルを過ぎると、道はだんだんと急になっていく。谷がだんだんと深くなっているのだ。
すると、あったあった。
フシギなループ道が、姿を現した。
これがウワサのあの道かぁ・・・。感慨深げにガードをくぐると、公園を取り巻くように白いガードレールが丸く連なっていた。
写真だけではイメージがわかないので下の地図を。
中心にあるのが田浦1丁目公園。
この公園をぐるっと道が2周している。
ループ道
ループ橋はこんな感じで 谷底からグルグルっとのぼって行くループ橋なんかは伊豆とか岐阜とかでよく見かけるが、こんな小ぢんまりした、児童公園を取り巻くループ道っていうのはかなり珍しいんじゃないだろうか。
しかしこういう道、よく作ったなぁと感心。
本当だったら左のA地点からC地点に一気に道を作りたかったのかもしれない。
でも見てみると私有地とガケになっているから、無理。
それならA地点からB地点に道を渡せばと思うけれども、一段目と二段目の間は3メートル弱の落差があり、かなりの急坂になってしまうので車が危険・・・。
まあ他にも理由はあったのかもしれないが、とにかく生まれたこのループ。
その傾斜といいその曲線美といい、かなりお気に入り。
こんなに曲がったガードレールを作るのも大変なんじゃないか?って思う。
ループ道を歩く
ひっそりとたたずむ街の芸術品。そんなことを言っても過言ではないかもしれない。

見事な傾斜! ちょっと上から見たループ道

谷の奥を上っていく さて、ループ道を越えるといよいよ道は急になってくる。
位置的には谷の一番奥
そこから一気に登っていくような感じで歩いていく。
そしてようやく尾根に出ると、今までの谷戸にはなかった”横の道”が出現した。
隣の谷戸に行こうと思ったら、さっきのトンネルまで戻る尾根に登るかしかないのだ。
しかしトンネルが出来たのはつい最近。
それ以前なら海沿いの国道16号まで行かなければいけなかった
その16号線も開通したのは昭和初期だろう。
つまり、海まで行かなければ隣の集落に行けなかった、ということになる。
そうか、そこで登場するのが峠の道なんだ。
谷戸がきれいに見える
遠く横浜もきれいに見えた 浦賀道
保土ヶ谷で東海道から分岐して六浦を通って浦賀へと至る江戸時代からの主要道だ。
ちょうど、今の横浜横須賀道路のルートと重なるように、三浦半島を縦断している。
六浦から浦賀だったら海沿いを通ればいいのに
・・・なんてカンタンに考えていたが、江戸時代、そんなに何本もトンネルを掘れるわけがない
だから、尾根づたいに道を開くしかなかったのだ。
アタマの片隅にあった教科書的な知識を、こうして実際に歩いてみてようやく実感できた。
ふと見ると、『浦賀道(十三峠)』の案内表示が。
この道は浦賀道の中でも難所で、当時は木に覆われて寂しい道だったと書いてあった。
十三峠の立て札
十三峠への道 確かに、今でこそ周囲は明るくて見通しもよく住宅も立ち並んでいるけれど、当時は周囲には木しかなかったはずだ。
ここをてくてく歩くのは相当寂しい
しかもアップダウンの激しい舗装されていない道だ。
しかし、この浦賀道は国道16号が完成するまで、三浦半島の暮らしを支える主要道だったのだ。

谷戸の様子がよくわかる 田浦梅林がよく見える

尾根を伝う細い道を歩いていく。
めざす峠はすぐ目の前。
最後の上り坂がなだらかに続いている。
江戸時代の人々も、これくらいの細さの薄暗い道を峠に向かってひたすら歩いていたんだろう。
この道をさっきの反対側の谷に降りていくと田浦梅林に着く。
沿道の梅は季節を感じさせてくれる貴重な目印だったかもしれない。
もうすぐ十三峠
十三峠の給水塔 地図で確認すると、ちょうど安針塚〜京急田浦間の京急の長いトンネルの真上に当たるこの道。
まさに昔からの交通の要所だ。
それどころか今も、この近辺に災害が発生したら三浦半島の交通はあっという間に遮断されてしまうことになる。
そんな重要な役割を果たす十三峠。
ついに、シンボルの給水塔が見えた。
峠の真ん中にあった小さな公園、長浦三丁目公園に入って、景色を見る。
目の前には横浜・ランドマークタワーから猿島、そして千葉までくっきりと見渡せる気持ちのいいビューが広がる。
・・・と思ったら、何かおかしい。
どこにカメラを向けても、ことごとく電線が写るのだ。
あっちにも電線、こっちにも電線・・・。
十三峠からの眺め
谷戸を見下ろす そうか、ここは交通だけでなく、電力の要衝だったのだ。
久里浜火力発電所から三浦半島の山々を北上して京浜工業地帯へと至る重要な送電線が通る道
そしてふと目を転じるとNTTドコモの巨大なアンテナが・・・。
十三峠は、ありとあらゆるものが通過する三浦半島の隠れた心臓だったのだ。

ドコモのアンテナ 送電線の先には猿島が
十三峠からの眺め 十三峠へ向かう道
戦後食糧難を乗り切った農地開拓の記念碑 給水塔を遠くから

◇続きはこちら→【その2】コンクリートを越えていく〜阿部倉への道

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2003.2.15