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| 700億円の男・小栗上野介〜ヴェルニー公園21世紀 |

| 【ヴェルニー公園】 横須賀市汐入町1 京浜急行汐入から徒歩5分 JR横須賀線横須賀駅から徒歩1分 |
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| ●関連ページ● 山の上のドライドック〜小栗上野介ドラマロケレポート ヴェルニー公園20世紀〜横須賀港ストーリー 横須賀のシンボル、姿消す〜ガントリークレーン13本の支柱解体終わる |
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| 横須賀市のヴェルニー公園が2002年、リニューアルした。 その昔”臨海公園”という名前だったときはどことなく物悲しい雰囲気だったが、今はフランス式の噴水や洋風あずまやなどができて、花いっぱいの場所になった。 目の前の湾の向こうは米軍基地。 そこは、昔、日本初の製鉄・造船所があったところだ。 ヴェルニーというのは、この製鉄所の建設責任者だったフランス人だ。 |
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フランスの巨大造船所、ツーロンで腕を見込まれ、上海を経て日本に来たとき、彼はまだ28歳。 幕府は最初、こんな若くて大丈夫か?と不安だったというが、その才能と動きはすぐに誰の目にもとまったのだという。 彼は製鉄所・造船所・灯台・水道などのインフラを次々に整備し、日本人と抜群のチームワークをみせ、数多くの技術者をここから輩出していった功労者だ。 |
| そんな”育ての親”がいれば、もちろん、”産みの親”も存在する。 小栗上野介忠順(おぐりこうずけのすけただまさ)だ。 1827年、幕府旗本の家に生まれ、1860年には日米修好通商条約の批准のためにアメリカに渡り、日本人初の世界一周をして帰国している。 33歳でのこの経験は貴重だったろう。 その後彼は、外国の技術を取り入れて倒れかかった幕府の勢力をもり立てようと奔走することになる。 |
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しかしこの小栗、かなりの熱血漢で信念を曲げない頑固さを持った人物だったようだ。 帰国してから数年間で歴任した職は数度の勘定奉行をはじめとして外国奉行、町奉行、歩兵奉行、陸軍奉行並、軍艦奉行など多数。 今でいえば任命と辞職・更迭を繰り返す大臣ということになる。 短いもので20日、そして長くて1年に満たないというんだからおもしろい。 原因は率直な物言い。 古い体制を引きずって現状を把握できない巨大な幕府・官僚組織を相手にズバズバと物を言って闘い、もがいてきたのがこの結果だ。 |
| 幕府にしてみればやっかいなヤツだが、罷免されてもしばらくして必ずお呼びがかかるというから小栗の才能はすごい。 みんな、ちゃんと認めているのだ。 その小栗が手がけた横須賀製鉄所。 当時、大型の船を必要としていた幕府はいろいろな国から戦艦を買う、という方式をとっていたが、古い上にボラれたりしていた。 そこを、自前の造船所をつくって大型戦艦をしっかりと作ろうと意図したのは小栗だけだった。 |
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しかし終焉間近の幕府には資金がない。 現に、外国から買うほうが安いと主張する勝海舟(かつかいしゅう)とことごとく対立していくが、小栗はあきらめなかった。 問題は240万両、今の価値で700億円以上の資金をどう捻出するか。 この時期は鎖国が徐々に解け、貿易により金がどんどん流出する中で幕府に反抗する長州藩を討つための莫大な戦費も必要、そして陸軍も増強しなければならない・・・と、幕府財政は破綻寸前。 |
| 裕福な商人に金を出せ、っていう手もとっくに尽くした今、700億を捻出するのは不可能に近かった。しかも、すぐに結果がでるわけではなく、建設と造船を待っているうちに幕府がなくなってしまう、ということも考えられる。 しかし小栗はひるまない。 将来の日本に絶対に必要なものだからだ。 そこで、当時ヨーロッパで引く手あまただった生糸の取引をする日本初の商社をつくり、そこにフランスとの優先取引を許可することによって建設資金をフランスから無担保で借りる、という離れ業を思いつく。 |
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外国から金を借りるなんてとんでもない、という周囲の猛反対を押し切って実現させたアイデアだ。 こうして建設が始まった横須賀製鉄所。 ヴェルニーは親日家で、日本の職人たちをよく育て、コミュニケーションをとり続けたという。 4年の歳月をかけてようやく完成した時には、時代は明治になっていた。 そして、小栗はもうこの世にはいない。 明治政府によって江戸幕府を守る急進派とされて、処刑されたのだ。 |
| 小栗が残した製鉄所は、彼を処刑した明治新政府が無傷で手にいれ、その後日本は急激な近代化を遂げていく。 生みの小栗と育てのヴェルニーという2人の若者の情熱が動かしていったこの巨大計画。 困難な時に物事を動かすのは、いつの時代も揺るがない情熱と柔軟な頭なのかもしれない。 享年、41歳。 完成を見ずにこの世を去った彼の夢の中では、横須賀の風景がどう描かれていたのだろう。 |
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| ●参考文献● |
| 『罪なくして斬らる〜小栗上野介』(大島昌宏著・学陽書房人物文庫) 『続・横須賀人物往来』(横須賀市民文化財団) |
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| 2002.10.7 |