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ツキはどっちに出ている?〜プロ野球12球団合同トライアウト
2002年11月6日
横須賀スタジアム
[地図]

ジャイアンツの優勝で幕を閉じた2002年のプロ野球。
12分の1の確率でビールかけを堪能する集団がいる一方で、成績がふるわずに球団から解雇を通告される選手たちがいる。
戦力外通告』。
これを宣告されるとき、選手はいったいどんな気持ちなんだろう。
小さい頃から白球を追いかけ続けてやっとつかんだプロ野球の栄光、そして挫折
ストーブリーグと呼ばれるこの時期に毎年繰り返される光景だ。
追浜にある横須賀スタジアム
守備練習 しかしまだ野球への情熱を失っていない選手も多い。
そんな選手たちのために、2001年から”12球団合同トライアウト”が実施されている。
これは球団から自由契約、つまり解雇された選手を対象にした合同の入団テスト
各球団の担当者が見る中でプレーをし、目にとまったら雇ってもらえるのだ。
さながら再就職のための面接試験
このグラウンドにいる選手たちは、生活のかかった緊張感の中で、球を追いかける。
毎年晩秋に2回行われるが、2002年はたまたま横須賀スタジアムでの開催だった。今年の2回目は甲子園で開催される。
追浜にある、湘南シーレックスが本拠地とするきれいな球場に着くと、すでに各選手がアップをしていた。
今年の参加は36人
スタンドには12球団の編成担当者、そして社会人野球や台湾野球関係者、そして報道陣の目が光っている。
各球団関係者が見守る
吉田選手(0)と根本選手(37) 準備体操、シートノック、そして試合形式の対戦という一連のメニューの中で、各球団は即戦力を見極めていく。
ざっと見ると、やけにタテジマのユニフォームが多い。阪神タイガースだ。
8〜9人いるだろうか。
この秋の大量解雇の影響か、出てくる選手の4人に1人はタイガースという感じ。
中には背番号が3ケタの、バッティングピッチャーらしい投手もいたりする。
勝負の世界は過酷だ。
よく知っている選手が3人いた。
まずはスワローズの入来智投手。2000年には10勝して日本一に貢献した、おなじみの「入来・兄」だ。
今年は6試合で1勝3敗。ついに戦力外通告をされてしまった。
この日は応援も歓声もまったくない、まさに真剣勝負の場。
投げるたびに『おりゃあぁ〜っ』という入来選手の声が聞こえる。
アツい投球は健在だ。
入来智投手
マウンドには佐野重樹投手 そして佐野重樹投手の姿も。
近鉄の中継ぎとして1億円を稼いだ男は、その後中日に突然トレード。
しかし活躍の場はなく、2000年に自由契約となってしまう。
その後新天地をアメリカに求め、独立リーグを渡り歩いて日本に戻ってきた
アメリカといえば、元ライオンズの前田勝宏投手
日本で1勝もあげられなかったが渡米。
ヤンキースの3Aや2Aに5年間在籍し、帰国して2001年、中日に入るが戦力外通告。
昨年の合同トライアウトに佐野重樹投手とともに出るが、どこにも合格せず、台湾球界へ。
そして今年、再び横須賀のトライアウトに舞い戻ってきたツワモノだ。
しかも自分と同い年。何か親近感がわく。
登板の直前、キャッチャーとの打ち合わせの声が聞こえた。
(球が)荒れたらごめんな。』
実際の投球では、言葉どおりだった。
投げるほうも、そして打つ方も人生をかけて、必死なのだ。
前田勝宏投手
近鉄・奈良投手。この後デッドボールを与えてしまう この日は思わぬドラマもあった。
バファローズ・奈良将史投手が登板して、打席にはホークスの野々垣武志選手
ここで奈良投手は彼の左手首のあたりに強烈なデッドボールを与えてしまった。
倒れこむ日笠選手、帽子を取る奈良投手、そして静まり返る球場
この状況が何を意味するのか、みんなわかっていた。
生活をかけて臨んだこの場でのケガは、野球人生の終了を表す可能性だってあるのだ。
当たった方も痛いが、投げた方も辛い。
今年の合同トライアウト、テレビのスポーツニュースではほとんど報道されることはなかった
各球団ともにもうすでに戦力になりそうな選手には声をかけているし、ドラフトもまだだ。
そういう事情もあって、どこもさほど関心を持っているわけではないのだという。
この結果は、1週間後に、合格者にのみ通知されるという。
球場の外で報道陣のインタビューを受けていたある選手は「これでダメなら、仕方がない。あきらめます。」とコメントをしていた。
負傷した野々垣選手
ベースにはたくさんの夢がつまっている 元の球団のユニフォームを着ている選手たちはみな、数週間前に解雇通知を受け取ったばかりだという。
かつてグラウンドには金が埋まっている、と言ったのは誰だったろう。
それをわしづかみにする男たち、そして必要とされずに去っていく人々・・・。
そんなさまざまな思いが交錯した横須賀スタジアム。
一週間後の合格通知を待ちながら、横須賀の風景はどう脳裏に残っているんだろう。

巨人・田中健太郎選手 阪神・川俣ヒロアキ投手
オリックス・庄司大介選手 近鉄・奈良将史投手
ヤクルト・入来智投手 阪神・吉田、巨人・田中、元ロッテ・信原拓人選手
前田投手はヤンキースのユニフォームで 巨人・小野剛投手
唯一のホームランは元広島・青木智史選手のバットから 阪神・山岡洋之投手
元阪神・高山智行内野手 インタビューを受ける佐野重樹投手
ダイエー・大野倫選手 巨人・田中健太郎選手
↑画像の上にポインターを乗せると説明が出ます

●参考ページ2002年度プロ野球選手名鑑(スポニチアネックス)

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2002.11.8